『夢』
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僕らの時代
「SWEET CANDY」 
「登校拒否」 
奥住先生と「母性」について 
 
「面白い夢を見たんですよ」。

確か、高二の1時限目の地学だった。若林先生が開口一番、昨晩見た夢の話をし始めた.....。

「えーと、いつものように、通勤電車に乗るため改札口を抜けようとしたんです、その時、切符切りの駅員さんに定期券をみせたら、その駅員さん、定期券のどこにパンチして良いかしばらく考え込んでいる....っていう夢なんですが、どうでしょう?」。

唐突な前振りに、僕らは、ただぽかんとして聞いていたが、よくよく考えると『夢』の本質をとらえたなかなか深い話でもあった。
 
フロイドさんに、この夢を分析してもらったら、若林先生が、未だエディプスコンプレックスを克服できていない云々とでも仰るのだろうか。。
 
そういえば若林先生、身体も華奢で身長も大きくなかったので外見は幼く見えた。そんな若林先生が、担任なさった卒業生を送るとき大泣きしていたのを、横で眺めていた吾奥住先生は「俺は、あんな風にちょっとなだめりゃ止んでしまうような泣き方はしねぇ」と、後日自分に言い聞かせるように呟いていたことをクスッと思い出します.....。
 
 
そう『夢』でした。

『夢』といえば『夢の精神分析』でお馴染みのフロイドですが、人間の営為のすべてを「性」に収斂させて読み解く言説は、どうも僕ら日本人には今一つ馴染めない気もしますが、「無意識」という概念を人類史上最初に発見した業績は素晴らしいものです。

『夢』と『魂』(≒無意識)」のアナロジーは、西洋ばかりでなく古代中国でもぼんやりと意識されていた様で、「古くは呪術を行う巫女が操作する霊の作用によって夜(夕)の睡眠中にあらわれるものとされた」(『常用字解 』白川静著)
 
 
「夢」 (殷墟文字)
 古代中国では「夢」は、夜(夕)身体から魂が抜け出て彷徨うことを意味していたので不吉なものと扱われていたようです。
 僕らが現在使う「正夢」は、西洋の Dreams come true.に近く「吉」の意味合いが強いのですが、アジア圏では「悪夢」と呼ぶように、どちらかというと「夢」は中国の影響を受けネガティブな意味合いが強いように思います。

それでも今では西欧化が進み「夢見る夢子さん」などの様なポジティブな意味合いに使われるようになってきました。

そう、大分前にユーミンが言ってました.....「『流れ星に願い事を唱えると夢は叶う』という言い方には深い真理が隠されていて、流れ星は凡そ0.2秒程で儚く消えてしまうので、その一瞬に願い事を言葉にできるということは、日頃から相当深く念じていなければならず、それが出来る人は既に心構えができているから夢は叶う」と。

どうですか、なかなか穿っていませんか。

ということで、秋の夜長、もう直ぐ中秋の名月です。夜空を見上げ、遥か遠い昔、僕らが未だ母なる海で魚だった頃を夢見るというのは如何でしょうか...。

では、では。
 管理人:東 日出夫  
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