画像は、アガバンサスさんのご次男七歳のときの絵になります(獲ったザリガニの背中にみんなで座るという発想が遠近法を超え出ていて、まさに天才です!)。










[ロンドン8日 ロイター]
英首都ロンドンは8日、感染力が強い新型コロナウイルス変異種が国内で制御不能となり、病院が対応できない恐れがあるとして「重大インシデント」を宣言した......
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 さて、2021年もスタートして半月が過ぎました。一月「いく」、二月「にげる」、三月「さる」と、年の初めの二三か月は、毎年疾風のように過ぎていきますが、今年は、一年そのものが「あっ」と過ぎていくような気がしています。

今年頂いた賀状には「穏やかな年になります様に....」といった文言が多かった様な。。残念ながら実相は真逆で、COVID-19はメタレベルで変異を繰り返し、あちこちで医療崩壊も起きています。世界一を誇る保健システムをもつイギリスですが、ロックダウンを繰り返してもウィルス感染の沈静化はできず、最早新型コロナウィルスを人がコントロールすることは出来ないと判断したようです。
 
樺埼八幡宮御神木
  そもそも、僕らがウィルスに勝とうなどと努々考えてはいないか。。愚かな人間がやらかした先の二つの大戦の総死者数が、(852万人+912万人)=1764万人。それに比べパンデミックでの死者数は.....
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1位 ペスト・黒死病(死者数2億人・1347年〜1351年)
2位 天然痘(死者数5600万人・1520年)
3位 スペインかぜ(死者数4000万人〜5000万人・1918年〜1919年)
4位 ペスト・東ローマ帝国での流行(死者数3000万人〜5000万人・541年〜542年)
5位 エイズ(死者数2500万人〜3500万人・1981年〜現在)
6位 ペスト・19世紀の中国とインドで流行(死者数1200万人・1855年)
7位 ペスト・ローマ帝国の疫病(死者数500万人・165年〜180年)
8位 ペスト・17世紀の大疫病(死者数300万人・1600年)
9位 アジアかぜ(死者数110万人・1957年〜1958年)
                          (FINDERS HPより)
 
 
(FINDERS HPより)
 
  何が怖いってウィルスによる感染症が、僕ら人間にとって一番怖いはず。まっ、隕石や小惑星の衝突で、一瞬にして地球上の全生物が消滅するということも何度かあったので、命を授かるって偶然のまた偶然、偶々ですね。

Giant Impact (地球が46億年前に形成されてから間もなく火星とほぼ同じ大きさ[直径が地球の約半分]の原始惑星が斜めに衝突したと考えられている)では、地球の岩石が6000℃に沸騰し、吹き飛んだ一部が月を形成したとされる。もちろん、ウィルスの誕生は、この後数十億年後になります。
 
 
Giant Impact
 
  僕らは勝手に、外の世界と自分の身体が体皮で覆われ峻別されているので、一つのまとまった塊だと思っているけれども、細菌やウィルスは、すっすっと身体に入ってくる。けなげに、数百万年かけて獲得した免疫防御機構で対抗するものの、ドローンを使ってレザー光線をもつ敵に火縄銃で対戦している様なもの。勝ち目はない。

僕らがどんなに文明が進歩したと思っていても、天変地異を乗り越えたことは一度もない。地震・津波・大洪水等々成るがままだ。すべてを「自然」として受け入れてきた。そのシステムの上に、僕らの命は乗っている。この辺のダイナミックな生命観は、ご存じ巨匠手塚治虫の『火の鳥』に深く描かれている。

..... つづく
 
   
  1月26日
新年に入って新型コロナウィルスは、より感染力を増してきているようです。若年層や低年齢層には大きなリスクはないのですが、問題は、基礎疾患を多く抱える僕らの世代にあります。 ウィルス自身の持つリソースは数十億年の積み上げがあるので、僕ら人間が、ワクチンや治療薬を開発すればするほど、彼らは次元の高い変異を繰り返し、より殺傷力が強い方にシフトしていきます。

実は、『火の鳥』は、今猛威を振るうウィルスに深く被るストーリーでもあります。。作者の手塚治虫は、この物語で何を伝えたかったのかというと、それは「命とは何か」という根本的な問いでした。そこに流れる基本理念は、仏教という世界思想ですが、この仏教、非常に難解な宗教哲学です。

この「仏教」ですが、ざっくり言って、それは「死の哲学」と言っていいと思います。この深いテーマを手塚は「漫画」で扱おうという暴挙?に出ました。それは、彼が医学を学んでいたということも大きく関係していると思えます。
 
   
『火の鳥』を読んだ方はご存じだと思いますが、未だ読んだことがない方は Wikipedia をちょっとだけ覗いて見てください。その壮大なスケールに圧倒されるはずです。

実は、洋画『2001年宇宙の旅』(1968年放映)の製作・監督であったスタンリー・キューブリックが、この映画監督を手塚治虫にオファーしていたということは、知る人ぞ知る有名な話です。『火の鳥』の連載が始まったのは、1954年ですから僕らが4・5歳の頃からになります。S・キューブリックが読んでいたかどうかは定かではありませんが、『鉄腕アトム(アストロ・ボーイ)』を読んでオファーをしたということなので同じような感受性を共有していたのでしょう。

「神は細部に宿る」といいますから、『鉄腕アトム』のほんの一片を見ただけで、その深さを直観できたのではないでしょうか。
 
 
キューブリックから手塚治虫に送られた手紙 (KUBRICK.Blog.jpより)
 
  残念ながら手塚治虫が、洋画『2001年宇宙の旅』の監督になることは許されませんでした。既に多くの連載を抱えていた彼の横には、出版社の編集部スタッフが四六時中世話を焼くというか、締め切りに遅れないよう尻を叩いていたからです(それ故、売れっ子の漫画家は、みな短命です)

そう、ウィルスでした。このウィルスですが、その正体は未だによく分かっていません。そもそも「生物」の定義からも外れます。と言うか「生物」という括り方そのものが、最早古いとも言えます。

『火の鳥』にも、もちろん、その基本的な考え方は、仏教にも出てきますが、僕らの身体は、たった4つの原子H(水素)とO(酸素)とC(炭素)N(窒素)で構成されているタンパク質(アミノ酸が多数つながって構成されている高分子化合物)で出来ています。

当たり前ですが、この4元素を試験管の中で掻き回しても生物にはなりません。隕石が衝突した際に突然変異を起こしたのかも知れませんし、雷が発生した時に偶然合成されたのかも知れません。宇宙から隕石に乗って運ばれたという説もあります。
 
   
  何れにしても「偶然」生まれたことには違いがありません。ただ、たった4つの原子が結合して「同じ構造」(同種)のコピーを造ろうと「志向」する…という変異が摩訶不思議な訳です。この事実に、「何故」という問いを誰しもが発するのではないでしょうか。

因みに、多くの生物学者が認めている生物の定義とは、以下の3つの条件を満たすものになります。

(1) 外界と膜で仕切られている。

(2) 代謝(物質やエネルギーの流れ)を行う。

(3) 自分の複製を作る。

どうですか、ウィルスに比べてローテクというか前時代的な構造をしていると思いませんか?
 
   
  そして、4つの原子の組成をもつものが、やがてその運動(「志向」すること)を止め、仏教的な言い方をすると「土に還って」いきます。元あった「志向性」のない分子あるいは原子に還って 行くわけです。この時、何故かひとは「悲しい」と感じます…。

… つづく
 
  2月4日 加筆
早いですねぇ、もう二月です。

さて、前回「命について」触れましたが、僕らがその「命」を授かって最初にすることが育児です。第一子の場合、誰しもが育児や子育てに不安を持ち、親子二世帯で家族を持つ世帯以外は、育児書を頼りにするしかなかったと思います。僕らの世代では、多分『育児の百科』(松田道夫著)が定番でした。

最近、この松田道夫さんのお弟子さんにあたる二人の方の『育育児典』(毛利 子来, 山田 真 著)をYouTubeで知り古書を購入しました。もちろん、僕に子供が産まれた訳ではありません;;残念ながら二人の息子は未だ独身です。
 もう既にご存じのお方もおられるかも知れませんが、『育育児典』、もしお孫さんにお子さんが出来ましたら恰好のプレゼントになること請け合いです。
 
   
  『育育児典』の何が凄いって、この辞典(児典)『暮らし』、『病気』の二部構成になっていて、例えば『暮らし』の「まえがきにかえて---これからの育児」に次の様に書かれています。

ちょっと長いのですが.....

21世紀に入ったいま、日本も世界も大きな転換期を迎えています。身近なところでも、仕事や生活や家族のありようが劇的に変化しつつあります。 とりわけ大きな変化は、必要以上に物を造り、それに煽られて贅沢に物を買い、なにごとにも利益があがり、便利さえよければよいとする経済と文化のあり方がほころびてきたこと。
 そして、そのためにもたらされている災害や生活上の困難を、どう解決し、どのように乗り切っていくかが模索されはじめたことといえるでしょうか。
 それはそのはずで、そういった大量生産、大量消費と効率性、利便性の追求は、地球環境と生活条件を危機的なレベルにまで、破壊するに至っています。
(中略)
 こんな状況にあっては、育児も必然的に影響を受けざるをえません。これまでの育児のしかたではやっていけないと思っていたほうがよさそうです.........(中略)

「妊娠からお産まで」......

.... と始まります。 
 
     
   まるで思想書のような書き出しで始まる育児書なんです。実は、秀逸な「まえがきは」まだまだ続くのですが、ここでは省略します。そして、『病気』編の「まえがきにかえて」も凄いんです!
「健康と病気の境目は?」
「病気にも効用がある」
「子どもをすぐに「病人」あつかいしていませんか?」
........
どうですか、このフレーズ、琴線に触れませんか?

どうしてこの様な語句が並ぶか.....。恐らく、この育児書のコンセプト(狙い)の根底に流れる社会分析に、「個人が病んでいる」というより「社会そのものが病んでいる」といった深い認識があるのではないでしょうか。逆に言うと、病んでいる方が常人というか、普通では、といった理解です。
 
   
  思えば、総部数約160万部を超えた名著『育児の百科』(松田道夫著)に流れていた空気は、何とも和やかで、そこに流れる時間もゆったりとしていたように思います。コロナ禍で想い返すのでなおさらでしょうか。。

子育てをしていて誰しもが一番切迫する事態は「病気」ではないでしょうか。幼児が具合を悪くしたときに「どうしたの?」と聞くと、答えは大抵「お腹が痛い」と応えます。この「お腹」ですが、幼児にとって首から下急所まですべて「お腹」と表現します。「肺」も「胃」も「腸」も未分化で、すべて「お腹」に括られるので親は余計に不安になります。確か、そのことを松田道夫さんは的確に指摘なさり優しく僕らを導いて下さっていたように記憶しています。

確か挿絵は、いわさきちひろさんだったと思います。彼女が描く「こども」の絵は、数か月の年齢差を正確に表現できていたということですから、この名著をサポートするには打って付だったと思います。
 
     
   僕らの思春期だった高度成長期真っ盛りのころの「時代病」は、「公害」でした。今はというと、戦後思想界の巨人故吉本隆明が指摘していたように、それはまさしく「精神疾患」だと思います。『育育児典』に流れる思想も、そういった事態を「普通」と理解して、それを受け入れる中での「最善な育児」という認識があると思います。そこが、優れて多くのみなさんに読まれ、評価されている点ではないでしょうか。

生前、吉本さんがよく言っていました。育児とは真逆の立場にある「歳をとり老いるということ」、つまり高齢者問題、それは、障害者問題だと。老人になるということは、身体障害者と精神障害者(老人性鬱病)になるということと同じなんだよ、という訳です。老いるということは、こういったことを受け入れつつ生きてゆくことなんだよ、とも言っておられました。

そして、吉本流「老い」を生きるコツとしては「小さく時を刻むこと」が、その秘訣だそうです。つまり、若い時の様に、遠い未来への夢や、一年先、二年先を憂うるのはナンセンス。今日のその時時を、出来る範囲で充実させていくこと。そして、多くを望み期待しないこと..... ということだと。

もう、30年以上も前に遺された言葉ですが、当に至言だと思います。
 
     
  本当は、続編『2010年宇宙の旅』のお話に続けるはずでしたが脱線しました;;というのも、『2001年宇宙の旅』には、その後の社会を象徴する場面があったからです。それは宇宙船をコントロールするハル(コンピューター)が突然狂ってしまうという事態でした。

1980年代、今で言う AI を人工頭脳と呼んでいました。当時のロボット知能は、未だ人間様には遠く及ばず人間を超えることはないだろう....といわれていましたが、何れ追いつくと考えていた技術者も多くいました。そして、重要なのは、コンピューターが人間を超すとしたら、その時「人間の価値」とはどこに在るのか..... という問いでした。

そして、その問いに応えるために進めていた研究は「狂うとは何か」というテーマです。つまり、人間に在ってコンピューターに無いもの⇒精神疾患といったロジックで狂ったコンピューターのプログラムを練っていたのです、それも大真面目に。
 
     
   1968年の時点で、その後の社会をピタリと予想するSFってすごいなぁって思います。

因みに、続編『2010年宇宙の旅』には、ハルが狂ったのはコンピューター・ウィルスによる....ということになっています。

いろいろ脱線しましたが、まっ、徒然にということで...... .。

では、では。
 
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